第112章

木原亜未が酒井初音に、あからさまに取り入るような素振りを見せたせいで、周囲は首をかしげた。

というのも、誰もが知っている。

御影家の継母である木原亜未と、怜司様――御影怜司の関係は、ずっと微妙だった。彼女は普段、怜司のことなど放っておくくせに、たまに皮肉をぶつけては真正面から噛みつく。

怜司は怜司で、いちいち相手にしない。

その態度が気に障ったのか、亜未の排斥は次第に露骨になり、怜司が成人すると御影家を出て御影邸に移り住んだことで、ひとまず幕を引いた。

それ以降、怜司が本家に顔を出すことはほとんどない。

会わなければ会わないで、表向きの「和やかさ」だけは保てる。

だが――三年前...

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